いらっしゃいませ!!

 常日ごろ思いついたことを、ただただ書き連ねるブログです。

「ワシがゆうたんやない!
    電波や…、電波がワシにいわしよんのや!」

2013/06/02

運営を民間委託しても図書館戦争は終わらない

なにかと話題の佐賀県武雄市ですが、その施策の一つ、今春オープンした民間企業運営の図書館についてこんな記事がありました。
2013.5.19 日本経済新聞 電子版|佐賀の「TSUTAYA図書館」、好調に広がる波紋
来館者が前年の5倍に急伸しており、「サービス向上」を掲げた当初の目的は果たしていますが、併設して書店・DVDレンタル店・カフェを営業しているため、市が税金で書店を誘致したようなもの、 運営企業が利益誘導に利用している、運営企業ポイントの付与は書籍の無料貸与を非営利に限定した著作権法に接触している、等の批判があるようです。
武雄市に限らず、財政難の自治体が効率化を図るため、図書館の運営を民間委託する動きが広がり、2011年時点で全体の約9%、298館に上ります。

図書館行政の問題点
ただ、これでは図書館行政を取り巻く問題の内、一つを解決する方法でしかないのではないか、とワタクシは考えています。残りは以下のように考えています。

1.図書館司書雇用の非正規・低賃金化
2.新刊書籍販売の阻害

1.は、大卒資格である司書職に非正規雇用が広がり、パート・アルバイト職員の拡大と合わせて低賃金化しており、自治体の財政削減による効率化と同根の問題といえます。
図書の陳列だけでなく、企画展示に知恵を絞る司書の存在が利用者増のための魅力向上に必須であるのに、そこが希薄であるのは本末転倒といえます。
2.は2012年の書籍・雑誌を合わせた出版物販売額が昨年対比3.6%減の1.7兆円と年々減る中で、図書館が利便性の向上を計るため、話題書の貸出に注力し、発売直後の雑誌を閲覧させ、結果、出版物の購入機会減少に拍車をかけている面があります。
少数の作家の方が悲痛な声を挙げていらっしゃいますが、ただでさえ初版が少なく、販売期間も短い書籍販売で発売と同時に貸出を行う図書館は売上を減らし、プロの作家が執筆だけで食っていけない現状の要因の一つだということです。
日本図書協会による2012年度の書籍購入予算が約209億円と10年前より約20%減する中で、購入が話題書に集中するのは当然ではあります。が、出版業界にすれば1%強の販売額を持つお得意様に強く言えないのをいいことに許容範囲を超えた行為に思えます。

問題の解決方法について
書籍購入を止め、個人の献本と、出版社の廃棄本のみを取り扱うように図書館行政を転換してはどうでしょうか。
個人の献本は現在でも図書館で受け付けています。
出版社の廃棄本は年間発行点数の25%、約1,700億円分あります。マンガや写真集など図書館展示に向かないものを含みますが、再販本として再流通したものを除いても十分な「量」は確保できます。出版社は廃棄にもコストがかかりますから、それを各図書館に配送するコストに転換して負担します。
献本・廃棄本には貸出希望の多いものは含まれないでしょうし、雑誌の閲覧をやっている所は前号が最新になってしまいますが、住民に読書機会を提供することを主眼に、近似のサービス提供だ、と住民に納得してもらう必要はあります。
その上で、書籍購入予算に使うおカネを司書の正職員化に使います。

また、各自治体でバラバラのシステムと、置いているサーバを協会が音頭をとって一つに集約し、サーバは仮想化で一体にしつつ全国に繋げるクローズドのクラウドとして運営するのはどうでしょう。
配本時に各自治体で一番収容残余がある図書館をA、その次をB、というように分類し自動的に配布できますし、図書館同士が重複書籍の融通をし、新刊と文庫でタイトルが重複するものを、文庫は小規模・移動図書館に譲渡することもやりたいです。

最後に
図書館の役割は、書籍などの知的財産を永続的に集積し住民に提供する、と定義されますが、これを考え直してはどうでしょうか。
最近ではタブレットを貸し出す所があるらしいですが、住民サービスとして図書館がない自治体が貸し出すのならともかく、図書館がやってしまうのは屋上屋を架していると思います。

出版社側も、自分たちが人の頭つかんで本を読ませることができない以上、図書館の存在を読書経験の入り口として認識し、積極的に応援・利用することを考えて欲しいです。校外学習時のスタッフを出したり、児童保育で借りた本を読む時間を作ってもらうとか、そこから需要を作りだすことに広告費を使うぐらいしないと、今の書籍離れの傾向を止めることはできないでしょう。

 

RELATED POST:


0 件のコメント:

コメントを投稿

コメント・バックリンクありがとうございます。

Popularity Posts