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2009/09/10

ドン ウィンズロウの「犬の力」を読みました

「ニール・ケアリー」シリーズのDon Winslow作「犬の力」を読みました。

いやぁ、大作です。
印象的には、船戸与一氏を彷彿させる血と汗と暴力、善・悪は一体となり国や権力の不可避な暴力が描かれます。

1975~2004年の間、主人公4人の絡み合う人生を、アメリカ・中米麻薬犯罪と政治関与、事件史実をまぶし織りなします。
この一大サーガをまとめきったウィンズロウの手腕にまず驚きました。ストリートキッズシリーズの時も長編がありましたが、その時と変わらない項数が上下巻になっています。また、分量だけでなく内容も上記のように重いものですが、話運びの巧さに結末まで必死に読み進みました。
これは、物語冒頭で提示される状況への主人公の無力感というか、悔しさと怒りに牽引されています。 その後、時間を遡って綴られる抗争の歴史から怨念が積み重なり、時間軸が追いついたときの話の広がりは、結末に収束されるまで予断を許しません。

ここでは、圧倒的な悪や暴力にたいして、反攻するのもやはり悪や暴力である、ということでしょうか。個的な感情では物事は動かず、別の悪と結ぶことにより個的な感情を充足することができる。ただこの感情は善・悪ではなくもっと情緒的なもので、ここがあからさまなのがこの物語の気に入ったところでしょうか。

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