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「ワシがゆうたんやない!
    電波や…、電波がワシにいわしよんのや!」

2009/06/29

伊坂幸太郎の「終末のフール」を読みました

「明日死ぬって言われたらどうする?」

「変わりませんよ」

「変わらないって、どうすんの?」「明日死ぬのに、そんなことするわけ」

「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」


本文中、一番好きなセリフを一部抜粋しました。

八年後に小惑星が衝突し、地球が滅亡する、そう予告されてから五年が過ぎたころ。当初はパニックに陥った世界も、いまは平穏な小康状態。残り三年余りという時間の中で、人はどういきるか、というお話です。

それで、家族の物語なのですね。
五年という混乱の月日、自ら生きることをやめた人、命を奪われた人がおり、その記憶を抱え、「今」生きている人達。「今」生きるため、それぞれは家族の記憶を再構成し、また家族を見直し、なかには家族そのものを再構成します。人は、人とのかかわりの中でしか生きられないのでしょうね。生きる上での幸福は、持続的な状況ではなく、瞬間にしかないのでしょう。
それは、明日死ぬとしても、百年後に死ぬとしても同じなのでしょう、だから、生き方は変わらない。
残り三年余りとなった人生において、それでも読んでいてこんなに幸福を感じることはない読書でした。特に好きなのは「太陽のシール」の章。主人公の最後のセリフも幸福を発見した瞬間でした。章中の登場人物、土屋も大好きですね。

「生きる」ことの対照に「死ぬ」ことをおきますが、ワタクシは違うと思います。「生きる」ことが状況の持続に対し、「死ぬ」ことは瞬間です。そうであるなら、「死ぬ」ことの対照は「生まれる」ことでしょう。「生きる」ことの対照はなく、その状況の持続がどこで途切れるかがわからないため、生死を考えてしまいますが、不定な将来を考えても、今できることはかわらないのでしょうね。愚直かもしれませんが、だから今を精いっぱい生きる、その勇気をもらえる読書でした。

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