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2010/04/26

映画「チェ 28歳の革命/39歳 別れの手紙」を観ました

日本で2009年に公開された二部作「チェ 28歳の革命」「チェ 39歳 別れの手紙」をDVDで観ました。前後計265分で重い内容でしたが、計算された映像表現で迫力のある映画でした。

前編は1955年、メキシコ亡命中のアルゼンチン医師エルネスト・ゲバラは、母国キューバで反政府活動を行い、亡命中のフィデル・カストロと会う。即行動を共にし、キューバに密航、ジャングルでのゲリラ活動から革命を目指す姿を追う。
後編は1966年、身元を偽り、軍事独裁政権下のボリビアに入国。新たな革命戦争に入るが、アメリカの援助を受けた政府軍の攻撃と、地元民の賛同を得られず、食糧や医薬品、武器・弾薬の調達も困難になり、ゲリラ軍は孤立、迷走し、追い詰められていくゲバラを描く。

何らかの意図を持って作られるから映画である訳で、記録映像でない以上、この映画も歴史や戦争映画ではないはずです。
では、その意図を類推すると、「解体と再構築」ではないかと思います。

前編のカットバック、1964年12月11日国際連合総会に主席として参加するために訪れた、ニューヨークでのインタビュや、総会での演説、質疑応答をモノクロ映像で入れます。
反対にゲリラ活動のジャングルは濃い緑と土のクッキリした色の世界。
ゲリラのリーダが、アイコンとなったのがこの演説ならば、それを指し示し、その芯の部分に迫ろうとしているのがこのパートではないでしょうか。
では、そのパートのゲバラはどのような行動をとっていたか。
焦点はここであり、行動の全体的な位置づけの説明は省かれています。
農民の半農奴状態からの解放のために農地改革を目指す彼は、活動に参加する者の一人一人の名前を聞き、子供の参加を許さず、農民を尊敬し、個人的な不満も直接聞き、それを直接解決し、兵士に読み書きや計算を覚えるように言います。
兵士を集め、鍛え、移動し、とまさしくゲリラ戦を戦いますが、都市部でデモ活動をする共産主義勢力と共同したところから軍事行動が進展、サンタ・クララを制圧し、国土を分断し、これからハバナに攻め入ろうというところまでで話が終わります。

後編はその最後に迫るもので、アフリカや南米に革命を起そうとした志と、成功することができなかった現実を描きます。
アスペクト比が違う映像だけでなく、描こうとしたことも違うため、2部作状態も理解できます。
ひたすらゲバラと共に存在し、その観察者となっている映画観賞者には、革命の継続が困難になった状況でも、前に進もうとするゲバラは、「グランマ号」でキューバに上陸しようとした56年の気持ちのままだった、と考えるのは類推しすぎでしょうか。もしくは、ここまでに至る道のり自体が、ソダーバーグの手の中なのかも知れません。

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