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2007/01/04

伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」を読みました。

創元推理文庫版伊坂幸太郎著「アヒルと鴨のコインロッカー」を読みました。以下、その感想です。
テキト~に内容に触れている部分もあります。ご注意を。

  さて、本作、「現在」と「二年前」の二軸の時間で語られます。ミステリィは、この二軸間で同一の固有名詞で語られる人物が、各時間軸では別人を指している事なのですが(いきなり申し訳ない)、このあたりは伊坂作品によく見られることでは。
で、今回の物語に残る”悲しさ”は何なのだろうと。

「二年前」の一人称の語り手である「琴美」の死と、その後日談としての「現在」の合間に、「琴美」への思いが残る組み立てになっていて、登場人物のその”悲しさ”が伝わってきてしまうのでは、と思います。読む方としては、感情移入先の「琴美」の死に動揺するはずですが、「現在」と交互に語られる形式の為、ショックが起こらないように構成されているのでしょう。
また、「現在」では、一人称の語り手の「椎名」の成長物語としても読めるので、その辺、やはりうまいなぁ、と。
それから、経過する時間を残虐に感じすぎない様、車いすの弟に姉の女の子を登場させ、「二年前」は成功しなかったであろう動物園でのレッサーパンダの誘拐を、「現在」成功させちゃったりしている(!)のは、読者に心配っているのかな、と考えたりします。

とにかく、地の文の表現はホンと楽しい!「椎名」登場から繰り返される、チャイム音の「ピン↑」「ポ~ン」の表現とか秀逸。
読んでて温かくは、残念ながら今回はならないですけど、うまいなぁ、楽しいなぁ、と感じるものでした。
とにかく、3時間とれる人は読むべし。

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