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2009/09/23

トム ロブ スミスの「グラーク57」を読みました

Tom Rob Smith著「グラーグ57」を読みました。
前作「チャイルド44」の続編ですが、前作で明かりが見えたと思えた状況が、実は次なる闇の序奏であった、というカンジでしょうか。ラストまで明かりの見えない、ぎこちない贖罪と再生の物語です。

下敷きにあるのは、フルシチョフによるスターリン独裁批判から、ハンガリー動乱まで。
確固とした基盤を持たない現政権が、強力な旧政権を個人の狂乱とそれに引っ張られる形で進行した独裁と否定し、すべての責任を個人に塗りこめて体制の維持を図ろうとした結果、旧体制に与した人間は、その弾劾に怯え、旧体制で虐げられた人間は、これを機として復権・復讐をはかるというまさしく社会がひっくりかえる事件において、主人公の穏やかな贖罪は否定され、激烈な復讐の対象となり、そこからの脱出が筋です。

前作同様、時代の状況を存分に使っています。特に自国内にもかかわらず、二重スパイのような状態の監獄の脱出劇などは緊迫の度が高いです。しかし、ここまで書いてしまうと、後半部のハンガリー動乱をベースとした救出劇が冗長のように思えます。
が、ハンガリー動乱が旧政権側の人間が、急速な変化を拒みそのために画策したものというロジックはなかなかの大仕掛けではあります。
なんにしてもこのシリーズは読んでいて重いですね。

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