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2011/09/12

映画「エンジェル ウォーズ」を観ました

ザック・スナイダー監督の「エンジェル ウォーズ」をDVDで観ました。
事前に注目を集めたにも拘らず、全米、日本でも劇場の集客に失敗してしまった作品です。
ただ、観てみるとそんなに悪くないです。

母を亡くし、遺産の相続に不満を持つ継父に妹共々乱暴され、身を守るための抵抗により誤って妹を殺してしまった女性(ベイビードール)。継父の策略により連れて行かれた女子精神病院で5日後に記憶や感情を無くす「ロボトミー手術」を受けることになる。それまでに病院から脱出し、自由を手に入れるための戦いが始まる。

なんでしょう、こんなに大量に好きな要素が入っている映画なのに「いききれない」。
身も蓋もないですが物語が3層構造になっています。
冒頭、1層目のEurythmicsの(Annie Lennoxが書いた)"Sweet Dreams (are made of this)"が流れる中、全くセリフが無く、母親を亡くすところから、車窓を流れる雨筋で描かれる"Sucker Punch"のクレジット、主人公が連れて行かれる先がレノックス・ハウスという女子精神病院という、一連の見事さ。
2層目の半裸のおネーちゃん達がわしゃわしゃいるカンジ、3層目の日本の女子学生のセーラー服に日本刀、ナースにキャビンアテンダントコスプレの戦闘服、スナイダー監督のストップ&スローの戦闘シーンに、これまたケレン味あふれる「決め」の数々。

よかった映像を挙げていくとキリがないのに、抱えるこの「いききれなさ」の理由を考えてみましたが、恐らく「笑い」(ギャグ)がないためではなかろうか、と結論に至りました。
故桂枝雀さんは笑いを生む環境を「緊張と緩和」である、と仰っていましたが、この映画に「緩和」がないんですね。
本来、20歳設定のセーラー服コスプレ女性が、ガトリングガン持った巨大鎧武者や、ナチスの蒸気動力仕様人造人間、ドラゴンや他惑星での大量生産人型ロボットと戦う場面なんか、笑えるはずなんですけどね。
対象を作りこむことに集中して相対視しないために、監督の思い入れだけが暴走している印象をあたえる結果になっているのではないでしょうか。

ただ、良い部分は良い、ので、今後、戦闘シーンのケレン味ある「決め」や、3層構造の物語進行を"Sucker Punch"的と呼ぶようになる、映画好き必見の映画になるのではないでしょうか。

「エンジェルウォーズ」の日本公式サイトにリンクします



さて、物語の複雑さによる、この映画の評価の低さが気になります。
以下、私なりに物語を再構築していきますので、1回観て「なんじゃ、この映画」と思った方は、もう何度か観てもらい、その上で「なんじゃ、この映画」と思った方は読んでいただきたいと思います。

上記しましたが、この映画の物語は3層構造になっています。
1シークエンスは、母親を亡くし継父に精神病院に入れられ5日後にロボトミー手術が待ち受ける女性(=現実)。
2シークエンスは、孤児として連れてこられた娼館で5日後に来る大富豪に処女を売るベイビードール(=想像)。
3シークエンスは、1及び2の状況から脱出して自由を得るために戦うベイビードール(=想像)。
で、2を1の女性に見せているのは、1の看護師長?(ブルー)でしょう。これは、女性が病院に連れてこられたときに、看護師長?が「我々はここを『劇場』と呼んでいます。」と継父に説明していたところから解ります。
なぜ2を女性に見せたかというと、看護師長?は女性に性的暴行を加えることを斡旋していたためです。女性は5日後にロボトミー手術を受け記憶を無くしますから、反応があり、かつ暴行の事実を忘れる時まで斡旋するために想像を吹き込んだんです。この病院にいる患者全員が2を見せられていると思われます。これは、2のブルーの言動と、ラスト近く1で看護師がロボトミーを受けた女性を便所に連れ込み、他の看護師がこれ以上患者を便所に連れてきたくない、と言っているところから解ります。
1で女性が性的暴行を受けている間、2ではベイビードールの「ダンス」とされるわけですが、この「ダンス」の間の3を見せているのはスイートピー(病院から脱出した女性)です。ベイビードールに脱出の動機を与え、そのために必要なもの(アイテム)を示唆し、2での「ダンス」を脱出への戦いに転換させています。これが最後に明かされて、どんでん返しになるわけです。
ではロケット、ブロンディ、アンバーは、というと恐らくその対象となる女性がいたでしょう。同じく2を看護師長?に見せられ、病院から脱出した女性がその目的のために利用したと考えられます。彼女達は同じく3を見せられていたでしょう(そのほうが整合性を保てます)。
1の女性は2での1回目の「ダンス」ではまだ2の世界に入り込めていません。それまでの服がまだ病院の灰色のワンピースであることから解ります。3の世界を受け入れて初めて2の世界を受け入れたわけです。
2回目の「ダンス」で1の看護師長?が女性の魅力に気付いた間に地図を手に入れます。3回目の「ダンス」で警備担当の看護師(=市長)を相手にしている間に、彼のライタ(女性が病院に連れてこられたときに扉を開けるよう合図するためにガラスを叩いた銀のやつです)を奪います。4回目の「ダンス」は脱出した女性と他の女性が仕組んでコック(=病院のコック)を誘って相手にし、その間に包丁を奪いますが、途中で他の女性の1人が犠牲になり(殺されたかどうかは解りません)、脱出した女性は隔離室に入ります。その間に他の女性の1人が計画を看護師長?に漏らし、その女性ともう1人の女性が犠牲になります(これも殺されたかどうかはわかりません)。1の女性の魅力に引かれている看護師長?は、斡旋ばかりで自分は女性に手を出していませんでしたが、このときに手を出そうとし、女性の隠し持っていた包丁で肩を刺されます。ここからの流れは2でのものとほぼ同じです。脱出の最後に1の女性が自らを犠牲にしますが、これは最初からそういうふうに脱出した女性に吹き込まれていたからで、1の女性は、たった1人の肉親である妹の命を自らの手で奪った現実からの自由をロボトミー手術により得たことになり、脱出した女性は現実の病院による拘束から自由になった、ということです。ですから、1の女性はロボトミー手術の際にそれを望むように笑っていたということです。

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