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2011/02/03

映画「ウォールストリート」を観ました

1987年に公開された「ウォール街」の続編を、オリバー・ストーン監督が再びメガホンを取り公開する「ウォールストリート」を観ました。

オリバー・ストーン監督が、リーマン・ショック前後の金融業界の方の中に、前作の公開後、彼のような人間を放置すればアメリカが喰い尽されると警鐘をならしたかったのに、期せずしてウォール街のダークヒーローとしてアイコンになってしまったゴードン・ゲッコーを見て、本来あるべきだと考える場所にゲッコーを落ち着かせた作品と言えるのではないでしょうか。

若くしてウォール街の投資銀行で出世し、新しいエネルギーの興隆に賭けるジェイコブは、勤務先が突然破綻し、自身の資産を失い、父親のように慕っていた経営者も自殺してしまう。
それが大手銀行の経営者ブレトンの陰謀によるものだと知ったジェイコブは復讐を誓い、婚約者ウィニーの父であり、かってカリスマ投資家として名を馳せたが、重罪を犯して8年間服役し、出所して講演や作家としてニューヨークに帰ってきたゴードン・ゲッコーに、絶縁しているウィニーとの仲を取り持つことと引き換えに、復讐計画への協力を求める。

前作でゴードンと対決した、チャーリー・シーン演じるバドが1カット出演、なかなかドスが効いています。このシーンのバドが言っている航空会社ブルースター・エアラインが前作の舞台。これを守るためにバドは戦ったのですが、今では高値で売り払えることを喜ぶとは、隔世の感があります。この23年間にチャーリー・シーンにあったことも考え合わせると感慨深いものがあります。

ストーリィの背景に、2007年夏のサブプライムローンの信用不安の広がりから、リーマンブラザーズの破綻に至るアメリカの金融不況が重ねられています。これを知らなくても筋を追えますが、説明がない、重要な問題だからみんな知っているでしょう、ということで、観ているとしんどくなるかもしれませんので、整理しておきましょう。
アメリカは、過去20年において、3度の金融不況を経験しています。
1998年頃のロングタームキャピタルマネジメント(LTCM)の破綻による混乱、2002年頃のITバブルの崩壊、2007年以降現在進行形の不況です。
LTCMの破綻は、金融機関が新興国通貨に空売りを仕掛けたことから起きたアジア通貨危機を発端にした大ヘッジファンドの破綻で、憶測が数学的な確実性を凌駕した実例です。取引金額の大きさから国主導で複数の金融機関がカネを出し合い穏やかに解体する道を歩んだのですが、カネを出した金融機関が、通貨危機を導いた空売りを仕掛け、憶測を流したのではないかとする説もあります。ブレトンがやったのも、ブレトンの銀行に対してジェイコブがやったのも同じ構図です。
ITバブルの崩壊は、90年代後半にインターネットの広がりに注目した金融機関が、当時多数設立された会社に投資し上場に導き、上場時の株価の高騰により利益を得る目的で、実体よりも異常に上昇させた株価が急落したために起こったものです。昨日まで家のガレージでやっていたような会社に出資し、そのカネで実体に関係なく経営規模だけを拡大させ上場利益を得るだけ、上場後には買収などを通じて時価総額だけを増大させ、その上昇をみた一般からの投資資金でさらに株価を吊り上げていたのが、金融引き締めを契機に株価が急落、IT関連の失業者を大量発生させたものです。
サブプライムローンの信用不安は、比較的信用度の低い方に、主に住宅取得用資金に使う目的で貸し付けた高金利であるが高リスクのローンで、01年から06年の住宅価格の上昇を背景に、住宅を担保に実際の価値よりも多いカネを貸すことも含みます。
作中ゲッコーが講演で、収入の少ない人に住宅が持てるようカネを貸すのが悪か?20万ドルの家を担保に25万ドル貸し、その家族が5万ドルを消費に回して幸せを得るのは悪か?と問う場面がありますが、このことと同様にサブプライムローン自体は(一部の過剰な貸付や回収を除けば)悪いものではありません。しかし、その先が問題で、このローン債権を複数まとめて証券化し、それを第三者に販売するあたりから怪しくなり、例えばA社がローン債権を証券化し売却、同様のB社の証券とまとめてC社がさらに証券化し、C社はカネを払って格付会社D社に格付を依頼、優良なC社の販売する証券にD社は投資適格の判断を発表し、その判断を信じたE社は証券を購入し、念のため保険会社F社にC社の証券が回収不能になった場合の保険を依頼する、という構図です。C・D・E・F社にしてみればA・B社の債権の正常性は解りませんし、A・B社にはC社の証券に対するD・E・F社への責任はありません。06年頃には住宅価格の上昇に限界があり、それを前提に誰にもわからない、誰も責任を負わない証券の広まりを問題視する声もありましたが、これを業界・官庁は放置、07年の住宅価格の下降からどの証券も信頼できず、それを所持する金融機関の破綻の懸念から互いにカネの貸し借りが行われず資金の融通が効かなくなった金融機関が破綻する、という構図です。07年6月には5大証券5位のベア・スターンズ傘下のヘッジファンドが問題となりベア・スターンズに公的資金を注入、08年5月に同業のJPモルガン・チェースに救済買収されます。同年9月にはリーマン・ブラザーズが巨額赤字を発表、救済策も検討されますが破綻に至ります。
作中では、救済・破綻の順序が逆で、救済されようとする金融機関に破綻に至る責任があるということで、図式は単純化されていますが、責任者が刑事訴追されているのをみると、オリバー・ストーンはリーマンショックの責任者に罰を与えよ、といっているわけで、相変わらず気骨があります。

いずれにしろ、ブラックマンデー以降の緩和的な金融市場と、投資できる資金ではなく、損できる許容量を元手にしたレバレッジ取引により、今も大量のカネがその実需に関係なく投資先を求めて蠢いています。これは当然で、カネが働くことによりカネを得ようとしているわけで、カネがその働き先を求める動きを止めることはできません。必要以上のカネを稼ぐことを非難する声もありますが、これは他人と自分との争いであって、誰が多く稼ぐか、誰も考えなかったような方法で稼ぐか、を争っているにすぎません。資本主義においては、その基準がカネしかないだけで、社会主義であるならより簡単で、党・国における地位がこの争いの場であるわけです。
強欲は、信仰を持つ方にとって、どのような宗教であっても罪ですが、少なくともウォール街の人間にとって、カネを稼ぐことは「欲」ですらなく、サルがマウントポジションをとるような行為であるわけです。国のため、会社のため、自分のため、と理由は付けますが、自分の職や会社、果ては国まで危うくするような行為が原始的な理由なら、「知」によって抑制するしかないわけで、けっして「よかったあの頃に戻ろう」ということではないということです。

20世紀フォックスの公式サイトです。

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