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2012/03/09

東京電力は堂々と潰してしまえばいい

東京電力の経営問題について、議論が煮詰まってきました。
12年2月13日に、東京電力の西沢社長の会見で、12年3月期通期の最終損益は6,950億円の赤字(前期は1兆2,473億円の赤字)を見込み、単独決算の純資産は6,000億~6,300億円程度、自己資本比率は4%程度との見通しを示しました。11年の赤字は、事故を起こした原子力発電所の廃炉費用を1兆円引当てているためです。
これは11年10月3日に出た「東京電力 経営・財務調査委員会」の、電力料金を多少値上げしても資金がショートする、という報告を裏付けています。
東京電力に関する経営・財務調査委員会報告についてPDF
このままいけば、現在金融機関から借りているおカネの借換が円滑に進まなければ資金がショートし、国の資金援助がなければ事故賠償ができず、廃炉費用が引当てている以上に嵩めば作業がストップするということです。
そこで、国が資金援助するとして、民間企業である東京電力への出資比率が大きくなるので、経営権を伴う形にするかどうかが焦点となっています。
日経新聞 記事 「改革に必要」「早く通常に」東電公的管理に賛否

さて、あれほどの事故を起こし、対応の不安定さを露呈した東京電力を、「潰してしまえばいい」と、考えずにはおれなかった方々も多いとは思いますが、実際には義憤だけで東京電力は潰れないわけです。
一般の民間企業であれば、事故を起こした場合、その事故を鎮静・復旧する費用を手当てできなければ潰れますし、その対応が不十分だと捉えた消費者の不買が売上の減少を招いて潰れます。しかし、東京電力は、鎮静・復旧の費用は政府から出され、消費者が不買しようにも代替の企業・商品がなく、それだけでは潰れることがありません。
変な言い方になりますが、(大幅な電力料金の値上げができない場合の)事故賠償か原子炉の廃炉どちらか片方でも東京電力が自力で行う事になれば、業務運営資金が枯渇し、東京電力を倒産させることができるとようやく分かったのです。

では、公的管理に経営権を伴う形にするかどうか、について、東京電力単独の再建は供給者を選べない消費者負担に傾きやすく、支援企業を募るにも稼いだ利益を事故対応に使う火中の栗を誰が拾うか、と考えれば、国が強制的に支援企業を指名し公的管理の出口を示しながら、経営権を握って消費者負担を最小化することが必要で、了とするのが妥当かと思います。
経営の枠組みは、中部電力・東北電力(以下二電)に分割吸収と福島第一・第二のみを管轄し事故対応を行う新東京電力を設立する二電分割方式を提案します。
実際には発電所とその配電地域によって分割するのであくまでイメージですが、管轄を山梨・静岡東部・神奈川・東京・埼玉を中部電力、群馬・栃木・茨城・千葉を東北電力に譲ります。
東京電力の社債・株式は現在の取引価格で分割比率に従って二電の社債・株式に振替(これにより投資家負担が生じます)ます。借金は利息を減額した状態で東京電力から返済するか、二電に借換させるかの選択です。電力業務のみの設備と人員を二電が譲受け、替わりに負債を引受けることになります。また、独占事業を引継ぐことから営業権を譲渡するという考え方を新設し、その対価に東京電力の事故前に予定された単年度利益2,000億円強を基準にし、二電は新東京電力に、仮に2,000億円を10年に渡り払うことにします。新東京電力は電力業務以外の資産を売り、二電から営業権譲渡の対価を受取ることにより2.5兆円内外の資金を持ちます。東京電力(新東京電力)の賠償金額は、原子力損害賠償法を適用し1,200億円に留め、残りの資金で新東京電力が廃炉を行います。
賠償資金が足りませんが、国が拠出する資金として電源開発促進対策特別会計から転用します。これは発電所など関連施設の立地及び周辺市町村に対する交付金などの財源に充てているものですが、原子力発電所の交付金は運転開始から年々減少する仕組みになっており、原子力発電所の新設がなければ余剰ができることになります。これを財源に債権を発行し賠償資金とし、賠償が終わった時点で原子力発電所の廃炉・使用済み燃料の管理に切替えます。この特別会計は電力料金から徴収されていますから国民負担ですが、負担の追加は回避できます。
資源エネルギー庁PDF 電源立地制度の概要
原子力損害賠償支援機構は存続しますが、各電力会社の賠償原資の拠出は取り止めます。
この案の良いところは3点、債権者・投資家に今引当てている以上に損出が発生しない、国民・電力消費者に追加の負担がかからない、首都圏の電力供給の安定性が増すことです。
安定性が増すのは、東京電力管内の発電所の相互融通を生かしたまま、二電は新管内との相互融通を新設するので、例えば、中部電力管内の電力供給が滞っても東北電力から融通することができ、首都圏の電力供給の安定性が増す、ということです。

最後になりますが、公的管理の経営権を握ることを契機として発送電分離などの電力自由化を推し進める意図についてですが、ワタクシは発送電分離をしても、独占発電と独占送電会社ができるだけで自由化が進むとは思いません。新電力の割合を増やすには、企業が新電力を利用しても電力会社から圧力を受けないように独占禁止法を適用することが簡単・確実です。料金は上記方法であれば事故対応の費用が切り離されるために追加負担は生じず、経営・財務調査委員会で指摘された通り、東京電力の場合、原価総括方式の過剰な部分が年間600億円強あるわけですから、それを除外して原価を再設定すれば燃料費の調整を除く電力料金の値下げが可能です。
こうゆうのは電力会社と経産省がどちらがどちらを支配するかの権力闘争でしかないと思っています。

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