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「ワシがゆうたんやない!
    電波や…、電波がワシにいわしよんのや!」

2006/10/24

京極夏彦「邪魅の雫」

上下二段組みの817P、携帯すれば護身用にも使えるプロダクトですが、少しずつ読み進み、半月かけて読了しました。
感想を書きたいのですが、本編で「書評」に触れている部分もあり、多少やりにくいですか。
「陰摩羅鬼の瑕」で、デビュ作へ先祖帰りした為(「見たくないから見えなかった」が「知らなかったから、やってしまった」みたいな感じでしょうか)、「連続」ならぬ「連鎖」殺人事件で2作目と対をなすような作品だと期待されていた本作。相変わらず、章前を読んでしまえば、本編を読み進めるうちに早い段階で犯人が判り(章後につながっているんですな)、犯人探しに拘泥させない高度な作りになっております。

今回意外だったのは、衛星キャラ(?)の益田、青木が狂言回しになっていたところ。よって事件は進んでいくのに、解決に向かわない展開で、じりじりしてしまいます。後半四分の一は一気に物語が構築され、じりじりした感じが軽いドライブ感とともにカタルシスに導かれます。
また、事件の質がライトになってきているような(当然のように殺人事件でばたばた人は死んでいきますが)。人や社会のドロドロしたものを、妖怪にマップする事によって名前をあたえ、憑物を落としてきたやり方も薄くなっています。これは現代に近づいてきたからでしょうか。その代わりと言っては何ですが、現実の事件が盛り込まれていたりしていますので、プロットに味を加えています。

京極ファンならもう読んでいるでしょうし、初見の人は、せひ一作目から読んでください。
(そうなると感想かいても読む必要はない訳ですが)

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